先週の新聞各紙で取り上げられていましたので、ご存知の方も多いかと思いますが、2015年1月の相続税増税後としては初めて国税庁から申告状況が公表されました。
これによると、2015年に死亡した方は約129万人で、そのうち課税対象となる相続は約10万人であり、全体の8%程度になったとの事です。この数字は前年の2014年と比較した場合で約83%の増化であった様です。
相続税というのは、一般庶民にはあまり関係がなく、一部のセレブだけが関係する税金という印象をお持ちの方も多かったと思いますが、今回の数字を見ると、他人ごとでは無くなってきている事を表しています。
では、なぜこのような事が起こっているのかというと、2015年1月以降の基礎控除と非課税の枠が見直された事が大きく関係しています。
具体的に申し上げますと、2015年1月までは、基礎控除が「5千万円+法定相続人数×1千万円」だったのですが、変更後は「3千万+法定相続人数×600万円」に引き下げられたためです。また、最高税率についても50%から55%に変更されています。
このため、従来であれば相続税の対象とならなかった遺産額でも相続税の対象となる方が急増したのです。
例えば、被相続人の遺産が5千万円で法定相続人が子供が1名のみだった場合を考えてみましょう。以前の計算では5千万円+1名×1千万円=6千万円で相続税の対象にはなりませんでした。
しかし、現行においては、3千万円+1名×600万円=3600万円となり、相続税の対象となります。
この様な事が全国各地で起こった結果、上記にある様に相続税対象者が急増する事になったのです。
では、なぜ相続税の基礎控除は変更されたのでしょうか?
これは、元を探ればバブル時代の地価高騰などに行き着きます。
バブル時代においては、土地の価格は上昇を続け、相続財産の価値はどんどん増加して行く傾向にありました。
その為、相続税の対象になる人が増えると共に、相続税が課税対象者に対して必要以上に重くのしかかっていたという背景があります。このため、この税負担を軽減する事を目的として基礎控除が引き下げられました。
しかし、その後のバブル崩壊後においても、この引き下げられた基礎控除は据え置かれていました。
そのため、課税割合が低下をして、富の再分配という相続税の持つ機能が低下してきた事を受けて、今回の是正となったわけです。
本改定により課税者となってしまった方にとっては残念な結果だと思うのですが、背景をみると元に戻しただけという見方もできます。
一方で、現在においては生前贈与の特例措置など、多くの相続税対策も出てきております。
以前の投稿にも書きましたが、相続の問題は生前からしっかりと計画的に実施をする事が重要になりますので、今回の記事を悲観するのではなく、対策をより早くから始めるきっかけとして利用していただきたいと思います。
